借りてきたお題は
トロンプルイユの夜舞台では
宙のアルコーブに隠された騙し絵に 意味を探して目を凝らす。
明滅しながら這う赤。 その向こうの青い過去。
等間隔に並んだオレンジは 滲むけれど交わらないから
越せない白線上に立って なぞるようにさ迷う指先で
半永久に繋がれた糸に嫉妬しては結び直すふりをしている。
剥がれない夜の帳の下で 指揮棒を振るように、ほら。
「少なくとも僕たちよりは永遠だ」
どんなに混ぜても透明にはなれない僕たちは
瞬くように溶けていくのに
この一連のお題を利用して『洋裁師』を目指す美乙女の男子高校生の話を書こうと思います。